紀南地方においては、事業者から排出される産業廃棄物を適正に処理するための産業廃棄物最終処分場がなく、県外依存という状況であるとともに、事業者自ら処分場を確保することは、極めて困難な状況です。
また、一般廃棄物においては11市町村の中で一般廃棄物最終処分場を保有していない自治体(新宮市、那智勝浦町、太地町、北山村の1市2町1村)も処理は県外依存の状況であり、さらに、最終処分場を保有している自治体(田辺市、みなべ町、白浜町、上富田町、すさみ町、古座川町、串本町の1市6町)においても、一部の自治体では焼却灰は県外依存であります。
将来、いずれの自治体も必要となる新処分場の確保については、先の事業者と同様、単独で最終処分場を確保することは、極めて困難であるという課題もあります。
加えて、国から「今後はごみ焼却施設の広域化と併せて、焼却灰等を処分する最終処分場の広域的な確保を図る必要がある。」との通達が出されており、和歌山県においても広域処理への取り組みや検討がなされております。
そうした背景のもと、平成14年11月、紀南地域の廃棄物の適正処理を目指して和歌山県、紀南地域の市町村、産業界が一体となって参画する『紀南地域廃棄物処理促進協議会』(以下、協議会)が設立されました。
平成15年4月には、協議会の諮問機関として、地域住民及び学識経験者からなる「紀南地域廃棄物適正処理検討委員会」(以下、検討委員会)を組織し、地域における廃棄物の適正処理について検討を始め、平成16年3月に「紀南地域の廃棄物に係る適正処理方針」答申がなされました。
この答申を受け、平成16年4月に、協議会は検討委員会に「最終処分場の候補地群の選定と用地絞り込みの際の留意事項について」の検討を依頼し、平成17年3月に「紀南地域にふさわしい最終処分場の用地選定について」の答申がなされました。
一方、協議会において、最終処分場の建設、維持管理を行う事業主体について検討を行った結果、「県、市町村、事業者が一体となった公共関与の事業主体である財団法人を設立する」こととなり、平成17年7月に『財団法人紀南環境整備公社』が設立され、同年12月に環境省より産業廃棄物処理施設設置に係る公的関与を促進するための制度である「廃棄物処理センター」の指定を受けました。
事業を推進するなか、広域最終処分場整備事業に対する反対運動もありましたが、粘り強く事業の必要性や施設の安全性等の説明を重ねるなど、住民の理解を得るため、時間がかかりながらも候補地絞り込みの調査を進めてきました。
この間、官民をあげて積極的にリサイクルに取り組んできた結果、最終処分量が大幅に減少させるという成果を上げてきました。そのため、産業廃棄物の埋立面積が国庫補助の対象要件である基準を満たさなくなりました。これにより、廃棄物処理センターに係る国の支援基準では一般廃棄物の補助も対象外になることから、このままでは国の支援を受けられないという状況になりました。
このため、一般廃棄物の国庫補助(循環型社会形成推進交付金)だけでも受けることができるとともに、これまで広域で事業に取り組んで来た経緯を踏まえ、事業を引き継ぐ新たな事業主体として、公社構成団体中の10の市と町で、地方自治法に基づく一部事務組合を設立することに至り、県知事許可のもと、平成25年8月1日に『紀南環境広域施設組合』を設立しました。
平成14年 | 11月 | 「紀南地域廃棄物処理促進協議会」設立 |
---|---|---|
第1回協議会全体会議開催 | ||
平成15年 | 4月 | 「紀南地域廃棄物適正処理検討委員会」設置 |
平成16年 | 1月 | 検討委員会から「紀南地域の廃棄物に係る適正処理方針」の中間報告(以下「中間報告」) |
中間報告による意見募集 | ||
中間報告に係る住民説明会を御坊・田辺・新宮の3会場で開催 | ||
3月 | 検討委員会から「紀南地域の廃棄物に係る適正処理方針」答申 | |
10月 | 「紀南地域にふさわしい最終処分場」の候補地選定基準(案)について意見募集 | |
平成17年 | 3月 | 「紀南地域にふさわしい最終処分場」の用地選定について(答申案)について意見募集(以下「答申案」) |
答申案に係る住民説明会を田辺・新宮の2会場で開催 | ||
検討委員会から「紀南にふさわしい最終処分場の用地選定について」答申 【候補地52箇所を公表】 | ||
財団法人紀南環境整備公社設立発起人会議開催 | ||
御坊・日高地域が大阪湾フェニックス計画の対象地域となり事業区域を変更 【52箇所→31箇所】 | ||
7月 | 「財団法人紀南環境整備公社」設立(協議会は解散) | |
8月 | 「技術アドバイザー会議」を設置(以下「アドバイザー会議」) | |
11月 | 「紀南の最終処分場を考える委員会」を設置(以下「考える委員会」) | |
12月 | 廃棄物処理センターに指定 | |
平成18年 | 2月 | 31箇所のうち8箇所が埋立容量の確保が出来ない等により除外 【31箇所→23箇所】 |
3月 | 考える委員会から「最終処分場整備に対する提言」が提出 | |
4月 | 平成18年度第1回理事会・評議員会合同会議 【候補地5箇所を公表】 | |
4月~ | 候補地周辺住民等への説明会を開始 | |
6月 | ラムサールの海を守る会より「串本町高富地区最終処分場設置計画の撤回要望署名書の提出について」が提出 | |
ラムサールの海を守る会より「串本町高富地区最終処分場設置計画の撤回要望署名書の追加提出について」が提出 | ||
串本町議会において「廃棄物最終処分場の最終候補地としての高富地区の撤回を求める意見書」が可決 | ||
7月 | 串本町議会より「廃棄物最終処分場の最終候補地としての高富地区の撤回を求める意見書」提出 | |
平成19年 | 7月 | 串本町議会に対し「廃棄物最終処分場の最終候補地としての高富地区の撤回を求める意見書に対する回答書」を提出 |
10月 | 公社と串本町議会との意見交換会を開催 | |
平成20年 | 3月 | 串本町長が調査受け入れを表明 |
8月 | 田辺市の稲成町内会が調査受け入れを田辺市長に報告 | |
平成21年 | 8月 | 串本町の高富地区が調査受け入れを串本町長に報告 |
10月 | 田辺市の秋津川町内会が調査受け入れを田辺市長に報告 | |
平成22年 | 1月 | 最終候補地選定調査着手 |
平成23年 | 5月 | 平成23年度第1回理事会 【最終候補地1箇所を選定・公表】 |
5月~ | 稲成町内会住民への説明 | |
平成24年 | 8月 | 田辺市の稲成町内会が現地詳細調査の受け入れを田辺市長に報告(但し、建設同意は現地詳細調査の結果を踏まえて) |
10月 | 現地詳細調査着手 | |
平成25年 | 8月 | 「紀南環境広域施設組合」設立 |
平成25年度第2回理事会・評議員会で公社解散関連議案可決 | ||
9月 |
公社解散 |